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 許すということ 


ある人から、

自分の年老いた母親を見舞いたいから、

一緒に着いてきて欲しい、と言われ、

ある老人ホームへ行ってきた。



私に同行を頼んだ人は、もう60代後半の女性である。

見舞う母親は90代。


この人は、幼い頃母親に虐待を受けていたそうです。

そのせいで、この年齢になるまで、心をずっと病んでいたと

私に話してくれました。



開運をテーマに、いろんな方とお話していますが、

この方の心はなかなか癒えず、難しい心の病気でもありました。



母親とは、50代までは親族の行事などで会うことは

あったものの、やはり会うと心が荒み、すっかり会えなく

なってしまっていました。


母親のほうは、とても頭が良い人で、

株などで儲けるような、とても痴呆症など縁のないような

やり手で頑健な方だったそうです。



ホームへ着くまで、やはりいつも通り、母親への恨み辛みなどを

延々と吐き、相変わらず、かなりの確執ぶりでした。


どうなることやら・・・、と氣が重い私。



ホームへ着くと、母親が狭い部屋のベッドで寝ていました。

私たちが入ると、しばらく見つめ、ハッとしたように

起き上がろうとするけれど、もう足腰は立たず、

助けられながら、辛そうにベッドへ座りました。


真っ白な髪。

不謹慎にも、『あぁ。。もう長くないのかな・・・』

なんてことを思ってしまうほど、聞いていた話の中の

母親とはずいぶん違いました。



そんな私と同じ思いだったのか、

あれだけ罵詈雑言を吐いていた彼女は、

思いがけず優しく語り掛けていました。



ところが・・・

その母親はしきりに何度もこういいます。

『本当に○○○か?変わってしまったね〜、、娘じゃナイみたいだよ』と。

そして、

『今まで、ずーっと見てなかったから、そう思うんだよ』と。


見舞っている間中、それを繰り返します。


彼女はそれに気づいてナイのか、、、

『どう変わったのよ?老けたっていいたいの?』などと

相変わらず、母親の言葉を嫌味にとっている様子。



私は、二人のことは、聞いたことしかあまり知らないが、

それでも、この年老いた母親の気持ちが伝わった。



早くきて欲しかった! って言いたいんですよね。


同じ会話ばかり繰り返す二人・・・



すると突然、母親が、


『どうしてこんなに長く来なかった・・・?』と涙をポロポロ流したんです。


彼女の顔が私からはよく見えませんでしたが、

たぶん、ハッとした様子。


次の瞬間、彼女は母親を抱いていました。

そして、辛かったことなどを母親へ向かって、

支離滅裂にぶつけていました。



さすがに部外者の私は、部屋の外へ出ました。

少し涙が出ましたね・・・。


あまりにも長い間、彼女の心を占めていた

母親へ向かう(慕う)気持ちを知っていただけに。


私は、母親のほうはあまり知らないし、、

虐待についてのことを意識しているのかどうか

わからないけれども、、、

子を想う気持ちは確かにあります。



それと同時に、気づかずに子供の心を傷つけている

ということがあるのかもしれない、、、

そして、そういう心のすれ違い、言葉やいろんなことの

すれ違いで、こんなにも長く葛藤を抱えてしまうということを

すごく怖いと感じるし、相手にすべてを伝える、ということが

なんて難しいのだろう、、と、やり切れなく感じました。




帰り道、彼女が言った。

『もっともっと嫌味を言いたかったけど、

お母さん、すっかり変わってしまってた・・・』



彼女が心から母親を許す時がいつくるだろう。。。?


その時、きっと彼女は初めて癒され、改めて自分の人生を生きなおすのだろうな・・・

と思いながら、帰りました。




恨み、とか、怒り、などからは、良いものは生まれないって

簡単に私は話してますけど、

それぞれの事情に触れると、自分など、浅い人生なのかな、、と

心苦しく感じてしまいます。


でも、それでもやっぱり、

抱える悩みの究極のところは、『許す』とか『愛』とかいう

モノにあると感じます。


今日は、ちょっと重い日記でした(^^ゞ

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